広告にまつわる話ブログ

広告代理店でマーケティングを担当。好きな広告について語ります。

【転職サイトはブラック?】IT業界で苦境にたたされ最悪の退職へ、未経験で広告代理店へ転職した体験談

転職体験の苦労話をお伝えします。

 

IT業界転職サイトから広告代理店へ

私は、43歳の男性会社員です。年収は約700万円です。
私が勤務していた会社は、IT業界の転職サイトを運営していました。私はその会社の新規事業企画部でマネージャー(課長ポスト)を務めていました。


私の仕事内容は、部署の名前通り、新規事業を企画運営することです。常に新しいビジネスを考えては、必要な初期投資額や必要な運転資金額、さらに何年で黒字化になるかをシミュレーションしていました。


さらに、企画した新規ビジネスについて、他社からの参入障壁が高いか低いかや、潜在的なマーケットの金額など多角的に分析し、どの程度の売上高と利益を計上できるかなどもリサーチしました。


そのうえで、短期で黒字化すると想定できたビジネスについて、経営会議や取締役会に新規事業企画案を上程しました。そして承認された案件については、ビジネスが軌道に乗るまでは私たちがハンドリングをおこなったのです。

 

IT業界のブラック企業だった会社の内情

私が辞めた会社で不満に感じたことは、新規事業として各企業の内情に関する口コミを集めるビジネスを始めたときのことです。人事異動や社風、セクハラやパワハラなどに関する口コミを集めて、それをもとに会員制ビジネスを始めることになったのです。


経営会議では、事業リスクとして、悪い口コミを書かれた企業が、私の会社に対して「誹謗中傷を受けたため損害を受けた。このため慰謝料の請求をする」という内容の訴訟を起こされることだと説明しました。


しかし役員たちが「そのビジネスはおもしろいじゃないか。各企業の内情を退職者から、幅広く集めることができるぞ。訴訟なんて気にするな。ネットの世界では悪口なんて当たり前だ」と言ってもらい、経営会議でも取締役会でも承認されたのです。


そして、いざ口コミビジネスを始めてみると、それぞれの有名企業の退職者から次々と、会社の内情の口コミが集まりました。


やはり退職者からの口コミですので、ネガティブな内容が多いです。具体的には「社長の好き嫌いを基準にして、昇進人事が決まっている」とか「営業ノルマを達成できない社員は3ヶ月でクビになる」といった内容です。


私たちは、それらの口コミをそのままネットに掲載しました。
そして、有料でそれらの口コミを閲覧できるようにしたのです。順調に売上は増えていきました。


ところが数ヶ月後、それらの口コミの対象となった企業から「根拠のない誹謗中傷である」という理由で、口コミ掲載を取り下げるよう要求されたのです。


上司や役員に相談し、さらに顧問弁護士にも相談しました。
会議の結果、法的リスクは存在するが、真実を明らかにしているのだから掲載を続行しようという結論となりました。


しかし、先方の企業は引き下がりません。口コミの削除と名誉棄損にともなう慰謝料請求を求める訴訟を起こしてきたのです。
しかも、次々と私の会社を訴える企業が続出しました。


私は再び上司や役員に相談しました。すると、役員たちの態度が一変し「おまえの企画は大失敗だったな」と言われたのです。
さらに「この始末はおまえに任せる」と言って、役員たちはこの訴訟から逃げてしまったのです。
酷い会社だと思いました。

 

心身ともに疲労困憊でIT業界を退職


それからは、まず一般人からの口コミ募集を停止しました。そして訴訟対応に専念するため、法務部に協力を仰ぐともに顧問弁護士と頻繁に連携して訴訟対応をすることになりました。


顧問弁護士からは「民事訴訟の大半は、地方裁判所の裁判長から和解勧告されて、和解となります」と言われ、少しほっとしました。


しかし訴訟を起こしてきた会社すべてに対して慰謝料を支払うことになってしまい、私は心身ともに疲れ果ててしまいました。


訴訟対応をしている間、新規事業企画部を担当している部長や役員は、いっさい私を助けてくれませんでした。
このような酷い職場環境と待遇はないと思いました。そこで、私は訴訟案件を片付けると退職したのです。

 

広告代理店への転職はやりがいあり


退職したあと、広告代理店に転職したのですが、WEBサービスの事業企画の仕事をしています。
いまは主にアプリ開発を担当しています。初期投資額は少なく、当たれば利益率が数百%にのぼるビジネスですので、やりがいを感じています。

これからネット関連の新規事業企画の仕事に就きたい人へのアドバイスとしては、ネット関係の法令については入念なリサーチが必要であるということと、ネット上の法令順守を軽く考えてはいけないということを挙げたいと思います。


とくに個人や法人(企業)への誹謗中傷です。

誹謗中傷というのは、真実を記載しても名誉棄損罪に該当してしまうのです。


また、近年は政府や与党の政治家たちも、ネット上の誹謗中傷対策に力を入れてきており、次々と法律の制定や改正を進める動きを示しています。


ですから、名誉棄損関係の法令やプロバイダ開示情報の仕組みについて、常に最新情報を入手したうえでビジネスを始めることをお勧めします。