広告にまつわる話ブログ

広告代理店でマーケティングを担当。好きな広告について語ります。

広告代理店でリストラされた社員はどうなるの?

最近コロナでリストラが会社で行われるのではないか。という内心ハラハラしている人が多いということで、リストラについて書いてみたいと思います。

広告代理店でリストラされた社員はどうなるの?

「整理解雇」を意味する日本のリストラ

「会社をリストラされた」と言う言葉を聞くことがあると思います。「再構築」を意味するリストラクチャーの本来の意味ではありませんが、日本では会社を解雇されることを意味する言葉として使われています。

 

企業は社会の変化に対応するために人員整理をしたり、新たに雇用したりして再構築(リストラ)していくものですが、日本ではそのリストラを「解雇」するという意味で使っています。

 

会社の一方的な解雇は認められない

ところで、企業には雇用した社員に対する解雇権があります。社員のモラルに反した行為や行動に対して解雇権を行使することが出来ます。

 

懲戒解雇のように法を犯したり、社会的に問題のある行為をした場合は、仕方がありませんが、普通解雇の場合は、その行為が社会通念上解雇に値するかどうかは、難しい面があります。

 

そして、一か月前に通達し、解雇を通達された者に対する理由に合理性がない場合は法的に認められないことになっています。そのため、裁判で争うこともしばしば起こります。

 

ただし、ここで言いうリストラは、「整理解雇」と呼ばれるもので、会社が経営不振で人員を整理すしなくては立ち行かない場合に実施されます。

業績の悪化ばかりでなく、吸収合併による人員削減のケースもよくあります。

 

企業は解雇のための合理性が必要

リストラは労働者の生活を脅かす大きな問題ですから、それなりの理由が必要で、納得できるものでなければなりません。

そこで、リストラするために会社は次の4つの要件を満たしていなければなりません。

  • 人員整理の必要性 
  • 解雇回避の努力義務 
  • 被解雇者選定の合理性
  • 手続きの合理性

が、その要件です。

 

不景気や災害などで真っ先に切られる広告費

そこで、広告業界について考えてみましょう。今は、コロナ禍で業績のいい企業はごく僅かで、殆んどの会社は売り上げも利益も前年を下回っているのが普通です。飲食業ばかりでなく、旅行業界や広告業界も例外ではありません。

 

企業経営が厳しくなると先ず切り詰めるのが接待費と広告宣伝費です。当然ですが真っ先に影響を受けるのが広告業界です。

 

テレビを見ていても分かるようにCMを打っているのは業績のいい企業だけになっているのが分かると思います。特にイベントに関わっている広告代理店は軒並み中止となり、厳しい環境に晒されています。

 

営業マンの仕事をリモートに切り替えて対応している企業の多いようですが、代理店によってはその危機を乗り切るための人員削減と言う「リストラ」もやむなしと考えている所も多いのではないでしょうか?

 

どのような人がリストラの対象になるのか?

リストラの対象になるのはどのような人たちかと言うと真っ先にターゲットになるのが40歳を超えた世代です。特に勤務年数の長い高所得を得ている層です。

 

広告代理店の経営陣の中には「50歳を超えると新しいアイデアは生まれてこない」と考えている人も多く、若くて柔軟な若い世代に人員を切り替え、人件費を極力抑えたいという考えが浸透しています。

 

そこで、どの企業でも最初に手を打つのが希望退職や早期退職の制度です。

 

希望退職と言う名のリストラ

実力のあるものにとっては独立・起業のいいチャンスと考える者もいますが、この年代は子供の教育費を始め生活に多くのお金が必要な世代で、リストラされると非常に困る人もいます。

 

会社はいらない人材を選んで指名解雇したいのですが、一流企業などでは社会問題にもなりますから希望を募るという形にしない訳にはいかない現実あります。

 

会社には辞めて欲しい人材もいれば、辞めてフリーや独立したい優秀な人材もいます。希望退職を募ればこの両方のバランスが取れないのが現実で、残って欲しい必要な人材を失ってしまう事にも繋がります。

 

あくまで希望ですから優秀な人材は引き止められることもありますが、有利な条件で退職し起業しようとしている人には渡りに船になってしまいます。

 

早期退職を促す会社の制度もある

希望退職は自分の意志で会社を辞めるように思いますが、実は会社の都合で退職を募るため自主退職とは異なります。退職金の上乗せや失業保険の支給開始も早くなります。勿論ですが、これは会社が業績の悪化や人件費を削減するための手段です。

 

大手広告代理店の場合などは55歳など、ある一定の年齢に達すると早期退職や希望退職などの道を自分で選べるようにしている所もあります。会社に残ることも可能ですが、定年までの間は昇給もなく、今まで自分の部下であった者が部長になり、その下で働くということにもなります。

 

リストラと同様で窓際に追いやられるということです。

 

早期退職のメリット

早期退職のメリットとして、退職金が増額されるのが普通です。そして、会社の都合による退職(解雇と同様)なので失業保険が直ぐに適用されて支払われます。

 

更に時間を有意義に使え、60歳や65歳の定年で新しいスタートを切るよりも元気なうちに第二の人生を始められる前向きな人生が歩めます。

 

早期退職のデメリット

一方、デメリットは固定収入が無くなるので、フリーになってもオファーのあるクリエーターなどを除けば、固定給がないので生活のための収入源を確保しておく必要があります。

当初は退職金があり、退職金には税金が掛からないので良いですが、保険や住宅、生活費などの固定費はかかりますから、事前に転職先を決めておかないと不安です。

 

更に会社を辞めると国民年金だけになり、社会保険や厚生年金の加入期間が短縮されるので、将来の年金額に影響が出ます。

 

ある程度の年齢に達してからの希望退職やいわゆるリストラは、会社でもポジションも上位なので高所得です。その際の転職は給与に見合う職が直ぐに見つからないことも多く、苦戦が予想されます。

 

ある程度の所得減少は覚悟しているでしょうが、相当なスキルや能力がない限り予想以上に厳しい現実が待っているかもしれません。

特に家族がいる人がほとんどでしょうから、充分家族と話し合って、同意を得ることが大切です。

 

電通が実施する業務委託制度

ところで昨年発表され、業界でも話題になった電通の「個人事業主」制度ですが、一部の正社員を業務委託に切り替えるというもので、今年から実施されています。全社員の3%が対象と言うことですが、早期退職やリストラと同様の措置とみることも出来ます。

 

ただし、個人事業者になるということは、これまで禁止されていた副業が可能となる訳です。今まで隠れて二足の草鞋を履いていたような社員ならば、本名で仕事が出来て歓迎する社員もいるかもしれません。

 

電通から仕事のオファーがたくさん来る実力派社員ならば、この制度の方がもっと稼げるかもしれませんが、そうでないと仕事がなくて苦しい人が出るかもしれません。

 

そもそも業務委託は、これまでも一部にあった制度で、定年になっても定年を延長して貰って居続けるよりも業務委託に切り替えて好きな時間に出社し、好きな仕事だけをする方がいいという制度です。

 

その方が個人事業者なので節税も出来、年金を貰いながら余裕を持って暮らせるという制度です。若い方には勧められませんが、中高年には有利なやり方です。

 

まとめ

今の時代は、明日は何が起こるか分かりません。全く考えてもいなかった想定外のことが起こり、それが自分の身に降りかかることもあります。企業も厳しい経営を余儀なくされていますから、リストラの危機がいつ自分に訪れるかもしれません。

 

そのようになった時に慌て内容、事前に対応策を考え、スキルや能力を身に着けておくのも大事です。終身雇用がぐずれた今の日本ですから、将来のことを考えて自分に有利な選択をして頂きたいと思います。